私がサーフィンを始めて一番怖かったこと。
それはカレントに流されたことです。
ただ、それでもサーフィンを辞めようと思ったことは一度もありません。
というより、サーファーなら大なり小なりカレントに流された経験はあると思います。
その経験があるからこそ、カレントの脅威を正しく理解した上で、賢く利用しているのです。
また、私は流された経験があるからこそ、サーフィン初心者にカレントを正しく理解して、できれば同じような恐怖を感じる経験はして欲しくないと思っています。
ただ、カレントが怖いからといって、サーフィンをやらないという選択ではなく、正しく理解してサーフィンを安全に楽しむことをおすすめします。
是非、最後まで読んで、カレントを上手く利用できるようになりましょう!
カレントにはどんな種類がある?
カレントというのは、海流という意味です。
サーフィンで使うカレントという言葉には、2種類のカレントがあります。
両方とも、特にサーフィン初心者は絶対に押さえておくべきポイントになりますので、しっかり覚えておいて下さい。
それでは、それぞれのカレントについて、詳しく見ていきましょう。
リップ・カレント(離岸流)
まずはリップ・カレントです。
リップ・カレントとは、岸から沖に向かって流れる離岸流のことで、幅は10〜30メートル前後で長さは数10〜数100メートルともいわれています。
とはいっても、わかりにくいと思うのでまずはこちらで実際のリップ・カレントをご覧ください。
夏場の海水浴場で、沖に人が流されたという水難事故のニュースが後を立ちません。
では、なぜ毎年のようにこのような水難事故が起こるのでしょうか?
これは、リップカレントのことを知らずに、高波の日に遊泳したことが原因であることがほとんどです。
かくいう私もサーフィンを始めるまでは、離岸流の存在を知りませんでした。
ただ、冷静に考えれば、沖からくる波がある以上、岸から沖に戻る流れが当然あるはずです。
このことをしっかりと覚えておく必要があります。
リップ・カレントの発生するメカニズムは次のとおりです。
2.岸から沖に波が戻ろうとする
3.沖に戻ろうとする波が、沖からくる波に負けて横に流れる
4.横に流れた海水が水深の深い場所に集まり、強力な離岸流となって沖に流れる
カレントの発生場所としては、堤防横、テトラポットや障害物があるところ、岬のように海に突き出た所と河口付近、また底地が玉石のポイントもカレントが発生しやすいです。
そういえば私も始めたばかりの頃、カレントに流されたことがあります。
パニックになりかけましたが、いい経験もできました。
そのときのことは、こちらの記事に書いてますので、是非参考にして下さい!
サイド・カレント(並岸流)
続いては、サイド・カレントです。
これは、横方向に向かって流れる並岸流のことです。
風の強い日に波待ちをしている時など、
「気づいたらゲットしたときに波待ちしていた場所からものスゴく横に移動していた」
という経験がある人もいるのではないでしょうか。
これは、サイド・カレントの仕業であることが多いです。
こうならないためには、常に自分がいる場所から岸に向かって真っ直ぐの場所の目印を見つけておいて、常に決めたポジションをキープすることを意識して下さい。
カレントが役立つ場合とは?
ここまでの解説を聞くと、
カレント=怖いもの
という感覚を持つでしょう。
確かに、カレントは脅威になりますが、時にはサーフィンの役に立つ時があるのです。
では、サーフィンに役立つカレントについて、詳しく見ていきましょう。
リップ・カレントは役に立つ
沖に向かってまっすぐ進んでいるリップ・カレントは、サーファーの役に立ちます。
というのも、良い波に乗るためには、ある程度沖まで出る必要があります。
しかし、プールと違って、海は沖から岸に常に波がきます。
コシくらいの波であればそうでもありませんが、ハラ〜ムネ以上の波になってくるゲットアウトもサーフィン初心者にとっては、段々と難しくなってきます。
沖に出るのに波をいくつも乗り越えていかなければなりません。
この時に体力を消耗してしまうと、テイクオフどころではなくなってしまいます。
特に、冬場はセミドライでただでさえ、ラバー素材のウエットスーツがパドルを重たくさせるのですが、おまけに波が大きいと沖に出るのはホントしんどいときがあります。
そこで、上級者はリップカレントのある場所をチャンネルと呼び、ゲットアウトするのに沖への流れを上手に利用して、体力を消耗することなく、沖に出ています。
こちらの動画ではサーファーがほとんどパドルしていませんが、チャンネルを利用して沖に出ている様子がとてもわかりやすいです。
50秒ほどの動画なので是非見てみて下さい!
リップカレントの見つけ方とは?
では、リップカレントはどのように見つけたらよいのでしょうか?
これが、なかなか目で見て見つけるのは難しいです。
ノウハウ本を見れば、海の色を見たり、海を流れる浮遊物を目で追えばわかるとか書かれていますが、実際そう簡単には見分けられません。
サーフィンをする前に、10分程度は必ず海をしっかりと観察して、体得するようにしましょう。
ポイントは、次の3つです。
これらをしっかり頭に入れた上で、海を観察してみて下さい!
2.波が割れていない場所や海面がザワザワしている場所を探す
3.波が割れ始めてから、左右の波のトップが割れなくなる場所を見極める
カレントに流されたらどうするべき?
では、仮にカレントに流されてしまった場合は、一体どうすればいいのでしょうか。
冷静になる
カレントに流されてしまった場合、ほとんどの人はパニックになるでしょう。
その気持ちはよくわかるのですが、この場合は一刻も早く冷静になることが大切になります。
冷静になることができないと、どう対処していいのかが分からないため、ただ体力を消耗してしまうだけになります。
そのため、強い力でカレントに流されていると感じた場合は、一旦全身の力を抜いて、どう対処すればいいのかを考えましょう。
カレントに逆らわない
カレントに流されてしまった場合、
「元の場所に戻らなきゃ」
という心理が働いてしまい、カレントに逆らってパドルしてしまう人がいます。
ただカレントの勢いというのは、人間が抵抗できるレベルではありません。
プロスイマーでさえ、カレントには逆らえません。
そのため、カレントに逆らって泳いでしまうと、ただ体力を消耗することになり、最終的には力尽きて身動きが取れなくなってしまうでしょう。
岸と並行にパドリングする
カレントに巻き込まれた時にまずすべきことは、岸を目指すことではありません。
カレントから抜け出すことです。
そのため、岸と平行にパドリングをすることが一番大切になります。
そうすることで、体力を温存しながらカレントから脱出することができるので、身の危険を回避することができるのです。
大きな声を出して助けを求める
カレントに巻き込まれて冷静な対応ができるのは、やはり海に慣れている人だけでしょう。
サーフィン初心者や、あまり海に入らないという人は、カレントの存在自体を忘れてしまう事もあります。
その場合は、自分だけでどうにかしようとせずに、大きな声を出して助けを求めることが大切です。
明らかにカレントに巻き込まれている時は、
「恥ずかしい」
という気持ちを全て捨ててください。
そうでないと、取り返しのつかない事態になってしまいます。
体力を温存する
カレントに巻き込まれた時、もし周りに人がいなかったら、まずは体力を温存することが大切です。
不安かもしれませんが、できるだけ流れに身を任せ、サーフボードに乗ったままで助けが来るのを待ちましょう。
海水に体を浸さないようにすることで、体力を温存することができます。
その間に、カレントからの離脱方法や、岸まで辿り着く方法などを考えることが大切です。
まとめ
カレントというのは、サーファーによって脅威になることもあれば、役に立つこともあります。
ただ、技術のあるサーファーであれば、役立つカレントと危険なカレントを見分けることができるかもしれませんが、初心者サーファーの場合は、どこでカレントが発生しているかすら見分けられないことも多いです。
そのため、まずはカレントについての正しい知識を身に着け、仮に巻き込まれてしまった時の対処法を頭に入れておくことが大切です。
カレントのことをしっかり頭に入れておき、サーフィンを安全に楽しみましょう!
コメント